TV という他人の時間

新宿に一泊した夜、ひさしぶりでTVを観た。

鮮明な画面が、タレントの老いを明瞭にかつ容赦なく伝える。武田鉄矢はすでに70歳。そういう私も64歳。

「ぽつんと一軒家」という番組は、二〇一八年夏に入院していたときによく観た。今回も観る。集落から離れた山中の一軒家をスタッフが訪れる企画。住んでいるのは、たいていは配偶者を亡くした老婆か老人。老夫婦は珍しい。かつてはたくさんの家族と暮らしていた。

一人、たまに二人で住んでいる高齢者は、決して暗くなく、明るくたくましく暮らしている。

こういう番組が続くのも、日本の高齢化がますます進行しているあかし。ながらく人間が追い求めてきた「長寿」が実現した現況を、喜んでばかりいられない。いま暮らしているお年寄りが他界すれば、一軒家は空き家、そして廃墟となる。

人間の営みの残り火を、TVが娯楽にしている。考えてみればとても残酷だ。

やはり、TVを自宅で観なくなってよかったと改めて思う。TVを観ていると、枠にはまり、下賤さをまぬがれない刺激を受けることで自分の自由な時間がつぶされる。しょせんは赤の他人が押し付けてくる無責任な時間を過ごすことになるだけなのだ。

  他人の時間たまに吹き込む一軒家

  彼の皺ありあり映すテレビも老いた  夏石番矢

























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