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zoom RSS 英訳 街への投網のような花火が返事です

<<   作成日時 : 2007/02/03 00:01   >>

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男子高校生のHARU君から、私の俳句、

    街への投網のような花火が返事です  夏石番矢

の英訳はないかとのお尋ねが、下記の記事のコメントに書き込まれました。

自句自解(1) 街への花火 
http://banyahaiku.at.webry.info/200701/article_17.html

実は、この句の英訳がないので、早速作ってみました。
私自身の下訳を、何人かのネイティブにメールで送り、返ってきた完成品を、私のコメントとともに紹介しましょう。英訳完成品の到着順で。


ニューヨークのジャック・ガルミッツ (Jack Galmitz) による完成品。

My reply:
fireworks cast like a net
upon the city


英語で「花火」は必ず、複数の fireworks。
cast は、動詞の現在形ではなく、受動態(過去分詞)で、「投げられた」を意味する。
英語俳句では、名詞+動詞の現在進行形や、名詞+動詞の受動態(過去分詞)がしばしば使われる。

日本語原句の、「街への」の「への」が、ちょっとしたあやになっているが、英訳では、それがストレートには置き換えられない。
しかし、ジャックによる完成品は、なかなか立派な英語の詩になっている。

もっとも大きな原句との違いは、fireworks の複数形から生まれる。米国流にかなり派手に、同時に花火が打ち上げられる映像になる。また、日本と海外の花火のイメージは異なる。


米国ヴァーニア州のジム・ケイシャン (Jim Kacian) による完成品。

My reply:
fireworks like a casting net
for a city


fireworks が複数なのは、同じ。
最後の for という前置詞が、なかなか絶妙な働きをしている。
少し離れたところから、ある city を目指して、fireworks が発射されたところを想像させないだろうか。
for は、「〜のための」という意味と、「〜行きの」という意味を表す前置詞。どちらか不明のような気もするが、その不明さが、英語としての斬新さを生むかもしれない。

fireworks から、ニューヨークの9・11を連想する人がいると思う。

こちらのほうが、内容的に深く斬新な英訳になっているだろうか。

以上の2人は、日本語ができないので、私の下訳だけを読んで、完成品を作ってくれました。それぞれ面白い英語バージョンだと思います。

次のネイティブは、日本語ができます。会話も流暢、文字もちゃんと読めます。


シカゴのジェームス・シェイ (James Shea) による完成品。彼は、メールに対する返事がゆったりしている。

To the city:
fireworks like a fishing net
is my reply


彼は、この他4通りの訳をメールしてきているが、私は上の磨き上げを選んだ。
日本語原句をちゃんと理解したうえでの訳。ほぼ日本語原句と同じ語順で英単語が並んでいる。これは、なかなか「いい仕事」。
「投網」が、casting net では、英語の読者には理解しにくいだろう、とのコメントが付いていた。それで、fishing net になった。英語の読者にも、いろいろあるようだ。
「街への」の「への」が、この訳では to になった。

さて、どの英訳バージョンが、一番いいと皆さんは、思われますか?

もう一人、英国のエリートで、日本のW大学教授に、英訳磨き上げをメールで依頼しましたが、彼は日本にいないようで、まだ返事がありません。



























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仏訳 街への投網のような花火が返事です
英訳された ...続きを見る
Ban'ya
2007/02/09 16:30
夏石番矢「街への投網」についての記事一覧
街への投網のやうな花火が返事です  夏石番矢 (句集『メトロポリティック』、牧羊社、1985年、23ページ) ...続きを見る
Ban'ya
2010/02/04 14:08

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
情景と心象までも捉えている、ジェームス・シェイさんの訳が好きです。
風花
2007/02/03 23:07
風花さん、コメント感謝!
HARU君や花火さんは、どうですか?
Fujimi
2007/02/04 00:14
僕はジャック・ガルミッツさんの訳が好きです!
というのも、投網のような花火、と訳しているのではなく、花火が「投げられた」と比喩的な表現がされている気がしたからです。
【(花火を)打ち上げる】というのは英語ではどう表現するのでしょうね…?

ところで、三作品とも一行目は「〜〜:」とコロンが打たれていますが、これは英語俳句の特徴なのでしょうか?
HARU
2007/02/06 16:54
そうですね、一番オーソドックスな英語かもしれません。ただ、何が一番オーソドックスな英語なのでしょうか?
コロンは、「切れ」です。W大学H学部の英語教授T・H氏が、海外の俳句には「切れ」がないと、かつて言いふらしていましたが、この教授はこの程度の英語力しか持っていません。
Fujimi
2007/02/06 22:24
花火さんの感想は、どうですか?
Fujimi
2007/02/07 18:00
私は、ジム・ケイシャンさんの英語のシャープさが好きです。
山道幾代
2007/02/08 14:02
仏訳もできています。そのうちアップします。フランス語の音節の数え方は、文字では説明不可能です。
Fujimi
2007/02/08 14:06
学校でこの英訳を先生に話したところ、言葉が訳されているだけで心情が訳されていない、といわれてしまいました。
僕も英語は多少理解していても、英語の文から読み取れる心というか、気持ちまではまだ理解できないので、言われてみれば…とも思ってしまい、反論が出来ませんでした…
番矢さんはこの事についてどう考えますか?
意見があればお願いします。
HARU
2007/02/09 21:22
君の学校の先生の、英語に対する経験とセンスの問題です。その先生は、どの国に行ったことがありますか? どの詩人が好きですか? 現代の英語圏の詩人とつきあったことがありますか? 答えはすべて「No」でしょう。これ以上は、高校生の君を混乱させたくありませんが、日本の英語教育は、世界でもかなりレベルの低いものです。また、詩がわかる人は少ないでしょう。
Fujimi
2007/02/09 22:16
夏石番矢の俳句は、翻訳されると、その前衛性がより明確になります。現代アートのような詩になります。君の先生は、おだやかな「心情」を好むいい先生なのでしょう。
Fujimi
2007/02/09 22:30
とても遅くなってしまい、すみませんでした。昨年の授業の発表から、夏石先生の句に関心を持ってくれている友人が増えています。
私は、難しいことは分かりませんが、ジム・ケイシャンさんの for a city という表現が好きです。forの、〜のために、というニュアンスが含まれ、気持ちが相手に伝わるように思えるからです。また、ジェームス・シェイさんのfishing net は、日本の投網をよく表現出来ていて、外国人の方にも直接伝えられることが出来ると思います。
とても短い俳句なので、違う国の言葉で表現するのは、難しいことですが、こうやって素敵な表現を考えてくれる人たちがいることは、とても嬉しいことだと思います。
花火
2007/10/16 21:17
花火さん、だいぶん英語表現の微妙さを学ばれましたね。感じることが第一です。大学受験は大丈夫ですか?
Fujimi
2007/10/17 01:14
来年は、いよいよ受験です。夏休みには、いろんな大学のオープンキャンパスに行き、志望校は絞られてきました。修学旅行も終わり、あとは勉強あるのみですが、受験に関係すること意外にも、様々な事を学び、経験していこうと思います。夏石先生のブログでも、いろいろなことを知ることが出来るので、時間があるときには読んで、コメントをしますね!
花火
2007/10/21 17:55

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