倉橋健一『人がたり外伝 大阪人物往来』

倉橋健一さんから新著『人がたり外伝 大阪人物往来』(澪標、本体価格2000円)をいただく。季刊タウン誌「おおさかの街」(発行・主筆:斎藤浩)に、1992年から休刊の2009年にかけて連載した、文学者を中心とする文化人と大阪とのかかわりを書いた43篇のエッセイをまとめた一冊。

短い文章ながら、各文化人の作品、活動、生活に及ぼす大阪の特質を快活にまとめている。

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松本清張が、戦後箒売りして生活費をかせぎ、その販売先を小倉から関西へと広げ、大阪、岸和田、堺にまで足を延ばしたのは、意外なエピソード。清張は商売しながら、その後の小説のネタの仕入れをもすることになった。

取り上げられたのは、薄田泣菫、正岡子規、夏目漱石(2篇)、小林秀雄、折口信夫、谷崎潤一郎などといった近代文学者、椎名麟三、坂口安吾、三島由紀夫、開高健、野坂昭如などの戦後文学者、さらには在日詩人金時鐘、宮沢賢治についての著書もある悪役俳優内田朝雄など。

それぞれの内容は、実際に読まれることを推奨する。多くの文学者の作品を読み込み、大阪のどの地区の特色につながっているか、それを短文でまとめるのは、文学と大阪の両方を心底好きな倉橋さんしかできない。

私が倉橋さんに電話で被差別出身かどうか確かめ、そうでないとはっきり教えていただいた川端康成についての1篇は、連載雑誌休刊のためか書かれなかったのは残念。川端康成の生家跡石碑は大阪天満宮の真南の料亭前にある。川端の出身校茨木高校、通称「いばこう」の川端との同窓生に倉橋さんは知り合いがいる。

ついでに、私と大阪の関係をまとめておく。まず先祖から始まる。石山合戦で本願寺を助けた鉄砲衆の乾与兵衛がいま判明している先祖。合戦後、移住した神戸の灘区篠原で高祖父まで代々この名前を名乗った。曽祖父乾市太郎が昭和の初め千日前で交通事故に遭い、大叔父乾寅之助の南堀江の家で亡くなっている。父乾萬吉が大阪空襲前まで大叔父経営の高津にあった乾製函所に住み込みで働いていた。

大叔父の孫、私にとってのまたいとこにあたる女性S・Sは、八尾市に住んでいる。近年、このブログがきっかけで初めて神戸で逢う。

私自身は、大学生・大学院生だった1970年代後半から1980年代、坪内稔典編集の「現代俳句」の集まりなどによく大阪へ通った。十三にあった飲み屋での二次会が青春の思い出。

いまは、近代や現代より古代に興味を抱き、2009年から交野市の星田妙見宮との縁が生まれ、昨年7月、同神社で表彰式を行った第1回星の俳句コンテストの選者を務めた。

大阪には、古代から現代にまつわる多種多様な魅力がある。

 織姫岩から淀川までしみじみ歩いた 夏石番矢







































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