第一回星の俳句コンテスト講評 入選作と佳作

第一回星の俳句コンテスト講評
入選作と佳作
2019年7月7日 星田妙見宮七夕祭

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審査員 夏石番矢

はじめてのコンテストに、日本全国から約千通の応募があったことに、感謝と喜びを表明したいと思います。
おかげさまで、選句の作業も、楽しく、迅速に実行できました。
 今回のグランプリである夏石番矢賞は、

オリオン座星の時間の砂時計    橋本來咲

に決定しました。東日本大震災に遭遇された宮城県石巻市からの投句です。オリオン座は、星座のなかでも、目立つものです。しかも大きな星座です。三ツ星は、狩人のオリオンのベルトとも言われていますが、日本では住吉三神としてあがめられてきました。海を往来した私たち祖先の記憶がこの天体に宿っています。橋本さんの俳句では、地上の時間ではなく、夜空の「星の時間」が作者の想像力と実体験によってしっかりととらえられています。そしてその大きな舞台の中で、なるほどオリン座は、「砂時計」として見えてきます。スケールの大きい俳句として推奨します。そして、夜空の星々に、秘密の仕組みを読み取ろうとしてきた、日本に限定されない人類のこれまでの営為も、この俳句は暗示しています。
 小学生以下の部門、中高生の部門、それ以上の一般の部門、これらの3部門のそれぞれ第1位から第3位までの入選作も、橋本さんの一句に劣らないできばえです。

小学生以下の部門第1位
  四才児自分の星座作ってた          大澤 奏
小学生以下の部門第2位
  きれいだなえんとつからみるおほしさま    みずかねりんたろう
小学生以下の部門第3位
  しかられて正座しながら星座見る       佐藤羽(わ)華(かな)

 これらの三句には、幼い作者の無邪気ながら興味深い独創性と真実が詠み込まれています。
第1位の大澤さんの俳句で、「四才児」はすでに、大昔の人類と同じように、星と星を直線で結んで、何か大切なものをそこに発見するのです。何を発見したのでしょうか。
地元の「みずかね」君は、「えんとつ」のてっぺんに登った自分を想像し、夜空の星々を眺めています。
佐藤さんは、意外な場面から、しかられて「正座」させられた子供の立場から、「星座」を横目で眺めています。この作者は、「正座」と「星座」の同じ音の漢字熟語による言葉遊びもやってのけています。
 いずれも、決して幼稚ではなく、生き生きとした直感がうかがえる秀句です。

中高生部門第1位
  僕の声大地を伝う星月夜          矢部大夢
中高生部門第2位
  午前四時犬の感情春の星          松浦星(しょう)大(た)
中高生部門第3位
  流星群「前々々世」の音がする       浅野 樹

 中高生になると、直感に知性がミックスされた秀句になります。
第1位の矢部君の俳句は、天空ばかりに気を取られた「星の俳句」に意外な「大地」へのまなざしを堂々と示してみせます。自分の「声」が大地を震動させ、夜空では月と星が輝く、耳、肌、目の三感覚に訴える立体的な秀句です。
松浦君の俳句は、明け方の微妙な感覚を詠み込んでいます。生命の躍動を準備するうごめき段階の感覚です。
浅野俳句は、かなり高度な知性と直感が、生み出したものです。「「前々々世」の音」は誰にもわかりませんが、この言葉自体の響きから「流星群」を想像できます。「ザ」行の音の繰り返しが、「流星群」のありさまとつながるからです。

一般の部門第1位
  地よ海よ野ざらしの星打ち上げよ      奈良拓也
一般の部門第2位
  星祭少女の水色が咲いている        野谷真治
一般の部門第3位
  星月夜ピテカントロプス歩きだす      髙橋もこ
                                                        
 一般の部門では、独特な言葉による独特の新世界が生み出されています。
第1位の奈良さんの俳句では、大胆にも星が「野ざらし」と表現されます。宇宙空間に浮かぶ天体が、大地や大海原から、ロケットのように打ち上げられ、野原の雨や風にさらされて、たくましく輝き続けるのです。この「野ざらしの星」は、実は作者自身、あるいは作者がそうありたい自画像です。
 野谷さんは、また独特の超現実的な表現を展開しています。「少女の水色」、これが星祭全体からにじみ出ているととらえているのです。素朴で純情な、そしてどこかもろい「水色」は、七夕祭の悲しい側面を言い当てているようです。
 髙橋さんは、人と猿の中間生物の直立歩行開始を想像しています。ピテカントロプス・エレクトスは、インドネシアのジャワ島で化石が発見された猿人。まるで、星や月が美しいから、猿人が歩き始めたと言わんばかりの秀句です。
 このほかにも、すぐれた俳句はありますが、今回はこれぐらいにさせてください。
  こういう講評を書きながら、短い俳句で、しかも星をテーマにして、これだけのことが詠めるということに、改めてうれしい驚きを感じています。

佳作
(氏名五十音順)
一等賞指のさきに乗せてみた     阿部圭吾 石巻市立蛇田小学校 10歳
流れ星夢に出て来るバットマン    飯田晄生 星田小学校 11歳
岩船の夕日に沈むの待ちわびる    泉谷圭亮
大銀河君に幸せどんとこい       乾 佐伎 埼玉県富士見市 28歳
水底に沈く七曜夏の闇        井上克人 交野市南星台 69歳
すごいよねブラックホール見つけたの 上野朝陽 ほしだ幼稚園 6歳
一人旅満天の星白い息         大西悠介 大阪産業大学附属高等学校 16歳
あの頃は彦星だった我が夫      大平明代 枚方市東香里新町 52歳
人は知らない流れ星が降る夜を僕たちが奪ったあの星空を
                   岡田和磨 交野市立第三中学校  14歳
まばたけば瞬き返す夏の星      緒方順一 京都府城陽 44歳
父から子へ風から風へ星の神話    鎌倉佐弓 埼玉県富士見市 66歳
星田はな星が流れておだやかや    北田歩夢 星田小学校 11歳
まだ若き人類の病む星無窮      北村ふじ子 埼玉県上尾市      
雲ぬけし機に銀漢の降り注ぐ     木幡忠文 東京都足立区 40歳
姫もわれらも星から来たと夏の夢    木村聡雄 東京都世田谷区 63歳
星空の光を受けて目を洗う      小林初記 枚方市香里ケ丘 65歳
蛇田小だれもがみんな一等賞     斎藤 司 石巻市立蛇田小学校 10歳
星ひとつ生まるる前の爽氣かな    斎藤秀雄 福島県岩瀬郡 45歳
始発駅銀河鉄道星の降る       早乙女文子 埼玉県川口市 85歳
緑日の穴場で見つけた天の川     清水直樹 寝屋川市幸町 20歳
星を見て数え始める子どもたち    庄司拓史 ふじが尾小学校 10歳
星畑父母の働く銀河系        鈴木比佐雄 千葉県柏市 64歳
星空は星は海で星はさかな      鈴木優花 石巻市立蛇田小学校 11歳
人の夢それがはじけて星できる    瀬川倫太郎 石巻市立蛇田小学校 10歳
星まつり地球はでっかい水たまり   竹廣信之 交野市幾野 81歳
おほしさまどおしてそんなにきらきらしているの 
                  中尾みゆ 牧野小学校 6歳
天の川ホロホロ拾ってわたしフワフワ 永井真理子 埼玉県熊谷市 38歳
七夕のやうに逢ふては別れたし    中島紀生 和歌山県紀の川市 63歳
夜の空星のパーテイーはじまるよ   埜邉愛梨 星田小学校 11歳
退職後教え子達と見る夜空      久富 誠 枚方市津田駅前 62歳
旅先で見上げた夜空に大きなひしゃく 日野沙南 石巻市立蛇田小学校 9歳
永遠の星未来をになうわたしたち    前田くるみ 妙見坂小学校 12歳
キャンプ張る星刺さるごと山の上   松崎幸子 交野市寺 71歳
大阪は流れ星ながれない       丸島綾乃 山田小学校 9歳
小さいころ夜の星すごかった     山口大輝 石巻市立蛇田小学校 11歳
星々を数えて蛙鳴きやまず      山本一太朗 東京都世田谷区 45歳
星ふりし交野の夜は夢そそぐ      渡辺 仁 星田小学校  




   








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