村上春樹症候群の傷跡

いつからだろうか、毎年秋、村上春樹がノーベル文学賞にノミネートされ、受賞するかもしれないとの空騒ぎを、日本の腐ったメディアが繰り返してきた。

それがようやく2018年に終わった。

この間、ノーベル文学賞の信頼性も失墜し、村上春樹の小説も売れなくなった。この賞も、この職業作家も、元来それほど価値のあるものではなかったので、馬脚をあらわしただけと言えるだろう。

もっと深刻なのは、日本人、とくに若者が、小説はおろか書物を読まなくなったことである。村上春樹に限らず、価値の低い「売れ筋」を狙ってきた日本の出版界の低落に歯止めが効かなくなったのは、自業自得。

電車の中では、スマホに夢中な人々が多数派で、文庫本でさえ読んでいる人はまれになった。新聞、雑誌もほとんど見かけない。

本好きだった私も、書店へ行かなくなった。むしろ、書店に平積みにされているゴミ本を目にしたくないので、書店を避けている。

本は元来、大量に売るものではなく、貴重な作品、貴重な情報や記録を後世に残す媒体だった。それが、第二次世界大戦後、大量販売へと業界がのめりこんだ。

大量販売される本、つまりベストセラーは、すぐに忘れ去られるものが多い。

そのうちに、PC、ケイタイ電話、スマホの普及により、紙媒体が多くの人々から等閑視され始めた。

スマホでことが足りる人々は、すぐに不要になる情報のなかで一生を過ごす、あわれな精神貧民であり、時代を超える価値に縁遠い。

村上春をめぐる空騒ぎが終わって、より深刻な精神的貧困が、経済的貧困よりも進行している事態に驚くほかない。

  電波の網の囚われ人へ電波の枯葉  夏石番矢



















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