P・クローデル『百扇帖』全172篇を読む

ポール・クローデル『百扇帖』収録の短詩全172篇をすべて読む。

全体的なイメージがつかめた。

ゴッホは日本を、太陽に黄色く染められた理想郷としてあこがれたが、クローデルは、実際に日本に滞在し、勤務地東京以外に、奈良、日光などを実際に訪れ、日本の山水の中核にある「金」(or)を何十かの短詩で詠んでいる。

金と対立し、ある場合は、融合する墨(encre)が、この『百扇帖』の通奏低音、いや背骨。

そして、見えない息 (inspiration)、かおり (odeur) などに、詩の創生を見出し、風を生む扇に結び付けている。

日本の風習や習俗を、フランス語で、日本人が意外に感じるような表出方法で短詩に仕立てている。

『百扇帖』の作品配列は、日本の春夏秋冬順ではない。その配列に何か構造や意味があるのかどうか不明。

なかには、ユーモラスな作品も混じっている。

神話的作品もなくはないが、予想より少なかった。日本の葦原の中つ国、キリスト教の『ヨハネの黙示録』に関連する作品がある。

最後の方で、「水滴」の神話がいくつかで出来る。

夏石番矢の「未来の滝」とは異種の、独特の「滝」を詠んだものもあった。

全体としては、絵葉書的ではない、優位な白人から見下ろすのではない、日本への深い共感に貫かれている。

172篇のほとんどは、世界俳句の立場からは、俳句と呼んでいい。

山内義雄による文語日本訳は、まだ原文と比較していないが、たぶんあまり評価できないだろう。現代語訳が妥当のはず。


参照
都内某所で『百扇帖』をさらに読む
http://banyahaiku.at.webry.info/201801/article_48.html

ポール・クローデルの短詩集『百扇帖』を原文で読む
http://banyahaiku.at.webry.info/201801/article_44.html

俳句シンポジウム「今に生きる古典ー詩人大使クローデル句集『百扇帖』をめぐって」
http://banyahaiku.at.webry.info/201712/article_31.html










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