『古事記』ノート(1) 革命者としての天武天皇

2008年度明治大学法学部の専門演習のテーマは、『古事記』読解。現在、受講生4名。これから断続的に、メモを書き留めておきたい。『古事記』は、岩波文庫に基づく。


太安萬侶による漢文。

第二段で注目すべきは、「飛鳥の清原の大宮に大八州御しめしし天皇」、つまり天武天皇を、古代中国流の革命者として、賞賛していること。

天智・弘文王朝軍を「凶徒」と表現しており、そこから放たれた毒気を、「気沴」と書く。またさらに、壬申の乱を殷周革命になぞらえ、天武が「華夏に帰」るとする。そして、天武天皇の徳が、黄帝、周の文王といった古代中国の革命者をしのぐと賞賛する。

日本のアカデミズムは、天智と天武が兄弟であることを疑えなかったが、在野の日本古代史家には天智と天武が兄弟ではなく、別系統の朝鮮の王族か貴族と考える人がいた。壬申の乱は、朝鮮半島と東日本を巻き込んだ王朝交代、革命である。そう解釈すると、この序文がすんなり理解できる。

「諸家」が所有する「帝紀」、それらが「正実に違ひ、多く虚偽を加ふ」と述べるのは、日本の統一王朝、そして統一王朝の記録が、天武以前には明確には存在せずに、多くの「帝紀」が並立していたことを暗示しているようだ。天武が生きているあいだに、統一された「帝紀」が完成しなかったのも、辻褄合わせが困難だったからではないか? この「諸家」は、諸王朝、諸王国を意味しているのだろう。

『古事記』の序は、案外、本音を漏らしている。

    青葉若葉は消えた書物を思わせる  夏石番矢


参照
2008年度明治大学法学部ゼミで『古事記』を読む
http://banyahaiku.at.webry.info/200801/article_24.html












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この記事へのコメント

ザッコ
2008年05月09日 23:19
歴史家にとっては常識のようでも、天智・天武は兄弟というのは歴史の中でつくられた先入観のようなところがありますね。疑ってかかってもいいと存じます。
Fujimi
2008年05月09日 23:44
ちらりと本音古事記から 番矢
三毛猫
2008年05月11日 22:34
日本の右翼って、どの王朝を信奉しているのですか?

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