「俳句朝日」「俳句研究」の廃刊についての感想

今年はほんとうに変動の年だ。半年が終わり、「俳句朝日」と「俳句研究」2誌の休刊、事実上の廃刊のニュースが飛び込んできた。ここで感想をまとめておきたい。

「俳句朝日」については、下記記事に、同誌創刊のいきさつから書いておいた。

「俳句朝日」廃刊
http://banyahaiku.at.webry.info/200702/article_5.html

「俳句研究」については、高柳重信編集長時代がなければ、私は俳句を作り続けていないので、いささか複雑。しかしながら、「俳句朝日」「俳句研究」いずれも、角川春樹が影を落した存在として、私にとってはいまわしいものだった。

「俳句朝日」に関しては、角川春樹がみずからの係争中の裁判の判決に有利になるように創刊号を利用した。創刊当初からいまわしく、いかがわしい雑誌だった。

「俳句研究」は、高柳重信存命中から、角川春樹が買収を試み、1986年ついに買収に成功し、当時の角川書店傘下の富士見書房から発行されることになった。これを歓迎した俳人は多い。飯島晴子もそのひとり。

この「俳句研究」買収は、角川春樹が俳壇を制覇し、ヒトラーのように支配するため、夏石番矢を含むうるさい俳人を排除するのが目的だった。

事実、夏石番矢は、富士見書房の「俳句研究」には、ほとんど作品を発表していないし、夏石番矢の出版物の書評は、一度も掲載されていない。

その後、角川春樹が刑事事件で実刑判決を受け、角川書店から離れることになった。

だが、富士見書房には、いや角川書店には、ひいては日本の出版界には、日本の俳句に責任を持てる編集者など一人もおらず、それで「俳句」と「俳句研究」を、特定の会社が編集・発行すること自体が、もともと無理だった。同じような保守的な企画で、同じような無能な俳句アマチュアに執筆させるという、不毛な年月が、1986年からなんと21年も続いた。この時期、日本の俳句は停滞を続けた。この停滞はさらに続くだろう。

また、この間、夏石番矢排除の構図は、しつこく続いた。一時期、「俳句」年鑑の俳人住所録から、夏石番矢は抹消された。

「俳句研究」最後の編集長、石井隆司氏が、廃刊直前ひさしぶりで夏石番矢に作品依頼したのも、罪滅ぼしの意味があったかもしれない。

無意味な雑誌に、なぜ50句

新作「五十人の空飛ぶ法王」一挙掲載!
http://banyahaiku.at.webry.info/200705/article_22.html

も寄稿したのかというコメントが、このブログの記事、

「俳句研究」休刊!
http://banyahaiku.at.webry.info/200706/article_36.html

に書き込まれたが(あまりに愚劣で下品なコメントなので削除した)、私がこの依頼を引き受けたのは、はじめて富士見書房の「俳句研究」編集長と、2006年11月の「紫」の会で、まともにことばを交わしたからである。

「紫」六十五周年・七百五十号記念祝賀会
http://banyahaiku.at.webry.info/200611/article_7.html

もはや今後、高柳重信編集長時代の「俳句研究」のような俳句総合誌は出現しないだろう。

俳人、夏石番矢を生み、そして排除し続けた「俳句研究」に対して、深い感慨を抱かないのは、もうとっくにこういう雑誌が、夏石番矢のメインの活躍の場ではなくなっていたからであるし、俳句の最前線は、国内ではなく世界にある。

「俳句朝日」の廃刊は、「俳句研究」廃刊の先触れにすぎないかもしれない。それ自体ではあまり意味はない。

改造社が創刊した、はじめての俳句総合誌「俳句研究」が消えることは、近代俳句史上の大きな転換を意味する。ただ、ほとんどの俳人は、この大きな転換が何であるかを理解できない。

俳句の主流は、世界的に見ればもはや「有季定型」ではない。無季自由律3行がメインとなっている。この事態に、俳句総合誌や俳句結社誌は、どう対処してゆくのだろうか?

歴史が大きく動くとき、人がその意味をわかっていることはまずありえない。

    人は安酒に酔い倒れ木に紅茸  夏石番矢

参照
句会や俳句結社の不毛
http://banyahaiku.at.webry.info/200610/article_14.html
異常気象と風邪と世の中
http://banyahaiku.at.webry.info/200706/article_3.html
新作「五十人の空飛ぶ法王」一挙掲載!
http://banyahaiku.at.webry.info/200705/article_22.html

















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