Ban'ya

アクセスカウンタ

zoom RSS 「俳句界」2016年4月号雑詠選完了と2015年特選第1位12句

<<   作成日時 : 2016/02/15 00:00   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

入試業務などの合間を縫って、「俳句界」2016年4月号雑詠選句と選評など終える。

2015年に私が選んだ特選第1位12句と選評を並べてみる。

2015年1月号
ひきかぶる銀河の重さ夜の深さ    埼玉  成田淑美

○作者はそれほど意識せずに作った一句かもしれないが、単純で深く広い思いがこもっている。こういう句の「銀河」と「夜」は、神話的な根源性を持つ。ふだんは忘れている夜の宇宙を、「ひきかぶる」のが私たちの宿命。それに私たちは気づかず、目先の雑事に追われて生きている。

2015年2月号
闇喰うて月は真つ赤になりにけり   東京 矢作十志夫

○赤い月についての、作者の神話的起源論の作。古代的というよりは近世的な口調ながら、おおらかに堂々としている。どうして「月」が「闇」を喰ったのかなどは、私たちが楽しく想像を許される。また、「真つ赤」な「月」がこれからどうなるかなども目をつむって予想したくなる。

2015年3月号
大鯨まぶたに菩薩宿しけり   山口 保田尚子

○現在は捕鯨も日本は思うようにできないながら、古代より日本列島では、鯨は格別な海洋哺乳類。巨大なからだの、そのまぶたに菩薩を見たのは、突出したインスピレーションのたまもの。「まぶた」が「菩薩宿す」のだから、まなざしが慈悲に満ちているのだろう。鯨肉を食べる日本人は……

2015年4月号
裸木だ俺に督促状無用   北海道 大橋嶺彦

○この決然とした口調が、何よりも他の俳句から際立たせている。「督促状」は、支払い督促状だろう。もはや花も葉もすべて落とした樹木と同然の人間が、居直りの潔い意志を、「裸木だ」と叫ぶことによって示す。「督促状」のみならず、すべてのどうでもよいことがらが「無用」。

2015年5月号
初夢はキリコの超国家的暗闘   東京 伏見芳村

○他の投句二句とは全く違う大胆な作。夢の複雑さや超現実性を「キリコの超現実的暗闘」で例示した。夢で見た映像が明確でも、その構造の奇妙さをなかなか言語では追い切れない。しかも「初夢」。この一年の予兆でもある。世界はたしかに国境を超えた「暗闘」の時代に入った。

2015年6月号
遠火事の音と映画のような雨   新潟 とっこべとら子

○他の投句「きさらぎのナイフ刺されて目覚めけり」を含め、それなりの力量の持ち主。「音」と「雨」の並列だけで一句を構成したところがいい。老いの愚痴を書き流した投句の氾濫のなか際立つ。「映画のやうな雨」はモノクロの雨だろうか。この一句は茫漠とした不安を詠んでいる。

2015年7月号
国が痩せ少年が病むおぼろかな   石川 かくち正夫

○二〇一五年のみならず、近年の日本の時代の深層を、おおらかにかつ簡潔に詠んだ秀句。日本とういう国そのものの「痩せ」は、諸事における老化と劣化による。若い生命の病いも、憂慮すべく蔓延している。「おぼろ」という季語が、春の季節感とともに、日本の国の曖昧さにも通じる。

2015年8月号
夢で見たイデアの色のシャボン玉   新潟 とっこべとら子

○原句の「石鹸玉」を「シャボン玉」に。「連翹や此の町に居た老婆たち」も佳作だが、こちらが断然優れている。この作者のテーマは、美しいはかなさ、漠然とした不安。「イデア」にどれだけ内実があるのかどうか不明ながら、夢で垣間見られた何か大切なものをこの句は表現している。

2015年9月号
空に浮く虹の不安を彩が消す   神奈川 三枝清司

○「虹」自身に「不安」があるとの把握は選者にとっても発見。他の二句は凡作で、作者には突発的な一句。一見、観念的で不器用に見える俳句ですが、その暗示性は強い。すべての存在のある本質を、この一句は表現している。たとえ「彩」が一時的に消せても、「不安」は消えない。

2015年10月号
生きるとは頬に無窮の岩清水   兵庫 子伯

○だいたいは通俗的で浅い人生訓が投句には多いが、この句は不思議な格言となっている。「岩清水」の実体が、涙か汗かなどと勘繰るのは意味がない。選者も説明しがたいけれども、生きることの苦痛とそれに伴う喜びが、この俳句で現代語として美しく表現できている。他の二句は凡作。

2015年11月号
虹のなか虹見えずして虹を恋ふ   大分 金沢諒和

○虹の句は幻想性の強い句が多い。この句では、幻想性と苦いイロニーが絶妙に混じり、しかもユーモアもにじむ。初出の上の句「虹に居て」を、「虹のなか」に改めた。「虹に居て」では虹に立っていることになる。「虹のなか」では、俯瞰すると半球形の虹の圏内の地上にいることに。

2015年12月号
水を打つ水をもつとも綺麗にし   大分 金沢諒和

○先月に続いての特選第一位。日常茶飯事の「水を打つ」行為が、貴重で美しい祭礼のような輝きを帯びる。「水をもつとも綺麗に」するのは、浄化した水を打つだけではなく、打ち水によって水がこの上なく美しくなると把握している。打たれた水の姿がスローモーションで鮮明に浮かぶ。


参照
「俳句界」2016年3月号雑詠選句と選評完了!  そして「イマジン」
http://banyahaiku.at.webry.info/201601/article_15.html









































































参照
「俳句界」2016年3月号雑詠選句と選評完了!  そして「イマジン」
http://banyahaiku.at.webry.info/201601/article_15.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「俳句界」2016年5月号雑詠選完了
締め切りよりかなり早いが、「俳句界」2016年5月号(文學の森)雑詠選句と選評など終える。 ...続きを見る
Ban'ya
2016/02/23 21:49

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「俳句界」2016年4月号雑詠選完了と2015年特選第1位12句 Ban'ya/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる