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<<   作成日時 : 2006/12/02 00:01   >>

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ディミータル・アナキエフから、ひさしぶりにメールが届いた。

1960年セルビア生まれの彼は、世界俳句協会の創立者の一人。旧ユーゴスラヴィアの元軍医。スロヴェニアのトルミンに住み、2000年9月、同地で世界俳句協会創立大会( http://www.worldhaiku.net/archive/whac1ja.htm )を苦労しながら開催した。そのときの世界俳句協会のチラシが残っている。最初の世界俳句協会のロゴマークは、アナキエフがデザインした。



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この大会の模様は、NHKドキュメンタリーTV番組「Haiku〜バルカンの戦火をこえて〜」で、2000年12月30日に放映された。ディレクターの七沢潔氏が「20世紀最後のドキュメンタリ−」と意気込んで制作しただけあって、感動的な番組。

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旧ユーゴスラヴィア分裂の戦時下、さまざまな人生の重みが、見事に俳句に結晶した事実を、緊迫したトーンでまとめた番組。私は番組監修とバルカン俳句の和訳を担当した。

  戦争勃発/裸木を通して/隣家を見つめる      ディミータル・アナキエフ

  小さな血溜まり/少女と大きな金髪人形/空爆死  ヴラディーミル・デヴィデ  

  一日中/子供ら探す/きのうの虹のアーチ       ミルサド・デーニョ

この番組は好評につき、2001年8月にも再放送もされた。

そのアナキエフも、いよいよトルミンを離れるという。

  烈風やアナキエフとは火山の名      『右目の白夜』(沖積舎、2006年7月)

右目の白夜
    http://www.geocities.jp/ginyu_haiku/publication/righteyeintwilight.htm
    http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9980964987

 彼は、この句に見られるように、感情の起伏の激しい男だ。そういう男は、人情家でもある。
 また、同じ句集『右目の白夜』収録の次のような句も、アナキエフを詠んだ。

  バルカン男は爆弾男ふゆの雨

  かの日虹を一緒に眺めた男は貧乏

  この冬は短期がメールでやってくる

アナキエフは現在、俳句からは少し距離を置き、映像作家としてヨーロッパ各地で活躍している。また、スロヴェニアの別の場所に自分のスタジオを設け、そこに自宅も移転するということだ。

  トルミンの兎は無事なり朝の風        『右目の白夜』


トルミンに私は、世界俳句協会創立の2000年と、翌年2001年9月のヴィレニッツア詩祭 ( http://www.vilenica.si/ENG/archive.html )のあと訪れたことがあり、なつかしい場所だ。

  月影や国境検問三十分            『右目の白夜』

  村上護「季」のうた参照
  http://banyahaiku.at.webry.info/200610/article_1.html

この句の「国境検問」は、2001年9月、アナキエフの奥さん、ズヴォンカと一緒だった。ヴィレニッツア詩祭に引き続き、トリエステ開催のsidaja詩祭( http://www.sidaja.eu/festival/2001/sidaja2001.htm )で俳句の多言語朗読を終えてから、ズヴォンカ運転の車に乗り、イタリア・スロヴェニア国境間の検問所で、実際に30分ぐらい待たされた。ズヴォンカは私に、「バンヤ、あなたがサングラスをかけているから、マフィアと間違われているのよ」とこぼした。
国境検問所の係官は、多くの顔写真が収めてあるファイルを繰るのに時間をかけていた。
同時期、他の国でも、国境検問が厳しかったと聞いている。あとから、9・11の直前だったとわかった。
どうやら、9・11と呼ばれることになるテロの情報は、あらかじめあちこちへと伝達されていたようだ。

この国境からアナキエフ夫妻の住むトルミンへと、ズヴォンカと二人で月下のドライブを楽しんだ。闇は闇として深く、月の存在がとても貴重に思えた。道すがら、山の上にある教会を、眠りそうになる私に、ときどきズヴォンカが教えてくれた。

  月を追う国境より山上教会へ          『右目の白夜』

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到着後は、アナキエフのアパートで、ひとときくつろぎの時間を持てた。当時、ストレスが蓄積する日々を送り、私はかなり肥満していた。右目の白内障も進行していた。

  大男二人がたたずむ日の橋(モスト・ナ・ソチ)よ  『右目の白夜』

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9・11は、この数日後。世界俳句と9・11は、私に21世紀の始まりを劇的にもたらし、その渦中に引きずり込んだ。
















   




         
       
 

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
わたしが俳句に手を染める前、何気なくこの番組を見ていたのです。
不思議なご縁ですね。
風花
2006/12/02 07:16
そうですね。すべてはご縁ですね。
また、あの番組の放映時間帯も、かなりよかったです。
Fujimi
2006/12/02 14:31
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