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私は、1955年に兵庫県相生市で生まれた。生後数ヶ月の写真が手元にある。三人兄弟の末っ子、長男としての誕生だった。つまりは、姉二人のあと、ようやく生まれた男が私だった。赤ん坊のころ、舌を出すと、まわりが喜んでくれたような、漠然とした記憶が残っている。 ふるさと相生市の市立図書館のサイトに、私についての紹介文があるのはうれしいが、あまり私の本は収集していない。 http://www.aioi-city-lib.com/kyoudo/yukari.html 父が90歳、母が88歳で、いまもこの相生市に住んでいる。 父母老いて播磨に蛸の甘さかな 『漂流』(『夏石番矢全句集 越境紀行』、2001年、沖積舎、所収) 姉やヘルパーさんの助けを借りて、両親は日々を送っている。両親がいま住んでいるのは、私が生まれた家ではなく、私が小学生4年のころ、新しく建てた家。よく黴が生えた家なので、次のような句を作った。 まぼろしか黴の花咲く父母の家 『漂流』(『夏石番矢全句集 越境紀行』所収) 生まれた家は、国道二号線の拡張で消滅した。思えば、わがふるさと相生市も、ずいぶん変わったものだ。 毎年、夏には、妻と娘を連れて、帰省している。そのさい驚くのは、最近、相生駅南が区画整理され、一変したことだ。 そこに建つホテルに、この8月宿泊し、部屋から東の風景を撮ってみた。 低い山並みに囲まれたわずかな陸地は、かつて訪れた韓国の地形に似ている。「陸」(くが)という古語も、地名に残っていた。古墳もいくつかあり、古代には渡来人が住んでいただろう。 うぶすなをかつてよぎりし神と鉄 『漂流』(『夏石番矢全句集 越境紀行』所収) 以前は、古い木造家屋が密集していた駅前商店街も、新しくできた道に沿って新建築が立ち並ぶようになった。私の母方の従兄弟が経営する和風レストラン「江戸屋」も、新しい駅前ビルで営業している。従兄弟の次男も、そこで元気よく店長として働いている。 私たちが泊まったこのホテルは、「江戸屋」の南にあり、ホテルの前の道は、色付きタイルが敷き詰められている。南仏のアルルの一角を思い出させるに道になった。 川もかつては、よく氾濫した。梅雨時に氾濫した鮎帰川を詠んだ句が、「中三コース」の俳句欄に初入選した。選者は、金子兜太。 足とめて見るは梅雨のうなる川 初期句集『うなる川』(『夏石番矢全句集 越境紀行』所収) この川は、相生駅の東横、山陽本線の下をくぐって流れている。かつては、蛍が飛び交い、洗濯をしたり、川遊びもできたが、いまはコンクリートで両岸を固められ、人が入れなくなってしまっている。 佐多稲子の『素足の娘』は、大正時代の相生を舞台とした自伝的小説で、この川沿いの道が登場するし、私の両親がいま住んでいる家の近くの池も登場する。その池も、近年埋められてしまった。瀬戸内海沿岸地方に多い溜め池の一つだろうが、この池を見詰めては、水底に河童でも住んでいるのではないかと、子どものころ思った。 私の母校、双葉小学校も移転し、その跡地に大きな温水プール施設がある。それでも、小学校時代の運動場や小さいプールも残っていて、昔を偲ばせてくれるが、肝心の母校がないのは、とてもさみしい。 よく遊んだのが、陸(くが)天神社。「天神さん」と、親しみをこめて呼んでいた。「天神さん」周辺の光景は、いまでもよく覚えている。「天神さん」の前庭のあのかわいた砂、古い木々、前を通る山陽本線の線路、神社前を下る長い坂道など、いまでもありありと目に浮かぶ。「天神さん」は、山陽新幹線の開通にともない、奥宮の麓へ移転してしまった。 こころざしとは播磨の国の絵馬の青 『漂流』(『夏石番矢全句集 越境紀行』所収) 小学校時代の同級生で、いまも相生に住んでいる人も、わずかながらいる。また、医院を開業している、中学・高校の同学年の知人もいる。 今年の2月、相生市生まれの甥が、隣の市の赤穂で結婚式を挙げたが、そこで、双葉小学校時代の同級生と、38年ぶりで再会した。私は、新郎の叔父、同級生は、新婦の叔母となった。 かつては、石川島播磨重工業の城下町として栄えた故郷も、この企業の縮小とともに、いささかさびれた感じがしないわけでもないが、両親が健在なうちは、毎年、夏に帰り続けるだろう。 |
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冬の旅
「冬の旅」という季語が、どれだれ歳時記に登場するか、はっきりとは知らないのだが、そう多くはないだろう。 私が、金子兜太・黒田杏子とともに編集に関った『現代歳時記』(初版は1997年、成星出版、現在の三訂版は、2001年、たちばな出版)に、「冬の旅」を、季語の項目として立てた(たちばな出版版、493ページ)のは、私である。 ...続きを見る |
Ban'ya 2006/11/20 01:11 |
淳心学院の思い出(3) 早熟と夭折
淳心学院の同級生や先輩には、早熟で多才な面々がいた。 ...続きを見る |
Ban'ya 2006/11/26 18:36 |
わが墨書2006年回顧(1)
サイバー時代に、毛筆や墨がお払い箱入りかと言うと、その逆だった。むしろ、万年筆が使われなくなり、干からびてしまった。 ...続きを見る |
Ban'ya 2006/12/27 17:05 |
夏石番矢落胆の日
11月20日(火)は、勤務先のM大の給料日。うれしいばずだが、落胆する出来事が起こった。その内容は、秘密。 ...続きを見る |
Ban'ya 2007/11/21 08:58 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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番矢さんのブログ毎回楽しみにしてます!幼少の頃の写真可愛いですね(>_<) |
くろぶち 2006/10/30 23:31 |
ありがとうございます。 |
Fujimi 2006/10/30 23:58 |
初コメントです。よろしくお願いします。 |
たま 2006/10/31 00:22 |
コメント感謝。 |
Fujimi 2006/10/31 01:07 |
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